こなすの部屋

社会学という視点から、暮らしや健康について考えたことを記したページです。何気なく当たり前だと思っていることに、「ちょっと待った!そうではないのではないか」と疑問を投げかける、そういう態度が「社会学的」だと思います。今日の医療や福祉に関心のある方に気軽にのぞいてもらいと思います。

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Sun, Jun 7, 2009

脳卒中啓発フェア

 先日ボストンのあるリハビリ病院で、「脳卒中啓発日Stroke Awareness Fair」が開催されました。かつてから交流のあった日本の脳卒中患者会の方々が、書道、銅版画、折り紙、旅行記、絵手紙、写真、障害者ゴルフ活動の受賞メダルなど、それぞれの作品などを展示するので、お手伝いをしました。

 会場には、脳卒中になって間もない入院患者から脳卒中になって数年立つ方、脳卒中者家族、友達が脳卒中になったという方、病院ボランティア、地域住民など、たくさんの方々が訪れました。片マヒ研究会のブースにも、大勢が訪れてくださり、みなさん興味深く作品に見入っていました。

 ある男性は脳卒中になったばかりで、妻に車椅子を押されてやってきました。障害者ゴルフをしている写真を見て、妻は「夫はよくゴルフにいっていたのよ。また行けたらいいわね」と言っていました。またある女性は、友達が数年前に脳卒中になりましたが、書道や銅版画を見て「すばらしいわね!こんなにいろんなことができるのね。友達にもぜひ知らせるわ。きっと勇気がわいてくるんじゃないかしら」と言っていました。小さな苗から育てた蘭の花の写真や絵手紙を見て、「なんて美しい。芸術的だ」と感嘆する声も聞こえました。折り紙は、こちらでもはやっているので大人気で、「売ってくれませんか?」という声も上がったくらいでした。

 一般に、アメリカでは脳卒中になると、3、4日は急性期の病院に入院し、その後リハビリテーション病院に行き、20日から30日を過ごします。その間、訓練室でのリハビリは一日3時間です。週末は半分の1.5時間くらいになります。そしてその他の時間は、看護師に見守られながらの訓練が行われることになっています。

 リハビリ病院を退院すると、自宅に帰るか、ナーシングホーム(長期療養施設)に行ったりします。自宅に帰った人たちの内、リハビリによる効果が認められる人は、必要に応じて通院でリハビリを受けます。1週間に3回くらい通っている人もいます。また、この病院では最近、脳卒中になってから何年もたつ人でもうけられるリハビリ訓練(ウェルネス・プログラム)を設けました。リハビリの新しい方法論や機器が開発されてきたからです。まだ始まったばかりのプログラムですが、今後の展開が楽しみです。

 あるご夫婦は、夫が3年前に脳卒中になり右麻痺と失語症という後遺症があるそうですが、妻はこのように言っていました。「脳卒中になって、夫はまったく変わったと思っているのよ。今までとは違うってね」。この言葉は、私が日本の脳卒中になられた方々から聞いた言葉とまったく同じでした。

 そして「変わった」ということを理解して、そこからどのように人生を作り変えるか、どのように新しい家族との関係性を編み出してゆくのか。国は違っても、思いは同じ。脳卒中になった方々は、その後の人生に自分なりの意味を見つけてゆくのだ、ということを再確認できました。

 そしてそのひとつの方途として、芸術的作品を作り上げゆく日本の方々の様子をこのように展示し、アメリカの方々に見ていただいたことは、とても意義ある試みだったと思います。参加してくださった日本の患者会の皆様に感謝と敬意を表したいと思います。

※写真はハルゼミです

作成者 conasu [ コメント : 0]